芹が谷整形外科クリニックのブログ

新型コロナウイルスとビタミンD

2020年05月01日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の因子として、年齢や慢性疾患の有無、性別などの可能性が指摘されていますが、新たな研究により、「ビタミンDレベル」と重症化との関係が明かされています。必須栄養素の1つとされるビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であり、自然免疫応答と適応免疫応答のいずれにおいても重要な役目を持ちます。ビタミンDを含む食べ物は存在するものの、一般的な食生活でビタミンDを十分に摂取するのは難しく、日光浴をして体内でビタミンDを生成することも重要となってきます。

ルイジアナ州立大学健康科学センター・ニューオーリンズのFrank H. Lau氏が率いる研究チームは、ビタミンDとCOVID-19の関係性を確かめるべく、COVID-19患者の医療記録をたどり、ビタミンD欠乏のサインとなる25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)について調べました。25OHDが30ng/ml以下であれば、ビタミンDが不足していることを意味します。 20人の患者の25OHDを調査したところ、患者のうち65%がICU(集中治療室)行きという状況において、一般病棟患者のビタミンD欠乏症の割合は57.1%でしたが、ICU患者のビタミンD欠乏症の割合は84.6%に上りました。また、ICUに入った患者のうち「75歳未満」に対象を絞ると、ビタミンD欠乏症の割合はなんと100%になったとのこと。ICUにいるCOVID-19患者のうち血液凝固の症状が見られた人は62.5%で、リンパ球の減少は92.3%でした。これらを総合して、研究者はビタミンDの欠乏が血液に影響を与え、免疫反応に混乱を起こしているのではないかと仮説を立てています。

また、COVID-19の患者にはアフリカ系アメリカ人やホームレスが多いことが指摘されていますが、研究者はこの事象にビタミンD欠乏症が関係していることを示唆。加えて、イタリア・ギリシャ・スペインといった、COVID-19が深刻な被害をもたらしている国では、ビタミンD欠乏症の割合が70〜90%にのぼっており、感染者数が比較的少ないノルウェーやデンマークではこの割合が15〜30%と比較的低いことも指摘されています。 なお、今回の研究結果はサンプルが限られたもので、論文も査読を経ていないため、正確な結論を出すには更なる研究が必要とのことですが、興味深い事には間違いありません。

ビタミンDは骨代謝にも大変重要な役割を果たすビタミンであるため、当院では骨粗しょう症が疑われる患者様にはほぼ全例25OHDを測定させていただいており、欠乏症が認められた患者様には積極的に活性型ビタミンDの投与を行っております。活性型ビタミンDは食物から摂取するビタミンDとは異なり、日光を浴びて活性化する必要がなく、内服しただけで効果を得ることが出来ます。活性型ビタミンDはドラッグストア等では購入出来ないため、医師による処方が必要です。

骨粗しょう症予防、そして新型コロナウイルス予防のために、ぜひ当院をお役立ていただければ、と思います。尚、当院では患者様にご安心しておかかりいただけるよう、万全の新型コロナウイルス対策を行っております。一時不足していたマスク、消毒液についても徐々に流通が再開しております。職員一同今後とも万全の対策を続ける所存です。皆で力を合わせて、ぜひこのコロナ危機を乗り越えましょう!