「こむら返り」を予防しよう!
2019年05月24日
院長の平出です。例年は梅雨が明けると猛暑になる傾向にありますが、今年の関東地方は梅雨入り前から猛暑日となりそうです。何ともはや先が思いやられますが、これからの季節は熱中症対策が必須です。人間の身体は50~70%が水分で出来ており、一日で2~2.5Lもの水分が出入りすると言われています。このため、適切な水分補給を行わないとあっという間に干上がってしまいます。身体の小さなお子様や、体力や内臓機能が弱っているお年寄りは特に注意が必要です。
さて、この時期になると夜中に良く脚が攣って困る、いわゆる「こむら返り」のご相談をよく受けます。こむら返りの原因はいくつかありますが、特にこの時期に多いのが「隠れ脱水」です。夏場は良く汗をかくため、喉が渇き、自然と水分を摂ります。しかし、まだそこまで暑くないこの時期は、大して汗はかきませんが、それなりに気温が高くなるため不感蒸泄(=無自覚のまま皮膚や気道から蒸散する水分 )により身体から知らず知らずのうちに水分が失われます。
特にお年寄りは夜間トイレが近くなるため、就寝前には敢えて水分を控える傾向があります。この事と不感蒸泄が重なり、明け方頃になると細胞内脱水(=細胞の中の水分が失われる)から筋肉が痙攣(けいれん)を起こし、アノ辛いこむら返りが起きる、というわけです。もう一つ、中高年の方に多い「腰部脊柱管狭窄症」という腰の神経の通り道が狭くなる病気があります。これもこむら返りの原因となることがあります。それではどうすればこむら返りを予防する事が出来るのでしょうか?
基本的には熱中症対策と一緒で、水分補給と塩分補給をしっかり行うことです。糖尿病などの持病が無い事が前提にはなりますが、お勧めしたいのはスポーツ飲料です。スポーツ飲料には細胞の水分保持には欠かせないナトリウムやクロール、カリウムといったイオンが含まれています。水分と同時にイオンを摂ることで、細胞内脱水を予防する事が出来ます。夜お休みになる前に、水で半分程度に薄めたスポーツ飲料をコップ一杯飲むだけで、こむら返りはかなり予防することが出来ます。
それでも攣ってしまう、という方にはとても効果のある漢方薬があります。漢方薬は古来からある生薬由来のお薬ですので、安心して服用していただけます。当院ではこむら返りに限らず、さまざまな症状に対し積極的に漢方治療を取り入れています。どうしてもこむら返りが辛い、水分補給も試してみたけどどうしても良くならない、という方はぜひお気軽にご相談ください。またこむら返りには上記の通り腰部脊柱管狭窄症が原因となっている場合もありますので、注意が必要です。